ギターを始めたとき、いちばん最初にやったのはコードを覚えることではなく、鏡に向かってストラップの長さを合わせることだった。憧れのギタリストと同じ高さでギターを構えたかったからだ。ロックのギタリストなら、ほとんどの人が同じ経験を持っているようだ。
カメラのストラップもいろんなものを試してきた。太さや長さ、材質、こだわり始めるときりがない。 デジタルカメラは美しく年をとらない。フィルム時代との決定的な違いだ。だからストラップは経年変化が楽しめるものがいい。そう考えると革以外には考えられない。
カメラは防湿庫にしまったりしない。とくによく使うカメラは、ストラップで棚に吊るしておく。出番を待っているようで見ていて嬉しくなる。 革の輝きが鈍くなりワントーン落ちて、手触りが柔らかくなったのを感じたら、カメラの使いこなしもひとつステップを登った気がする。
良質な革のストラップに特別な手入れはいらない。とにかく使うこと。カメラと同じだ。 どれくらいそのカメラを使い込んだか、ストラップが語ってくれる。