#02 プロストが苦手なプロフェッショナルたち

#02 プロストが苦手なプロフェッショナルたち

#02
プロストが苦手なプロフェッショナルたち

ギターを始めたとき、いちばん最初にやったのはコードを覚えることではなく、鏡に向かってストラップの長さを合わせることだった。憧れのギタリストと同じ高さでギターを構えたかったからだ。ロックのギタリストなら、ほとんどの人が同じ経験を持っているようだ。

カメラのストラップもいろんなものを試してきた。太さや長さ、材質、こだわり始めるときりがない。 デジタルカメラは美しく年をとらない。フィルム時代との決定的な違いだ。だからストラップは経年変化が楽しめるものがいい。そう考えると革以外には考えられない。

カメラは防湿庫にしまったりしない。とくによく使うカメラは、ストラップで棚に吊るしておく。出番を待っているようで見ていて嬉しくなる。 革の輝きが鈍くなりワントーン落ちて、手触りが柔らかくなったのを感じたら、カメラの使いこなしもひとつステップを登った気がする。

良質な革のストラップに特別な手入れはいらない。とにかく使うこと。カメラと同じだ。 どれくらいそのカメラを使い込んだか、ストラップが語ってくれる。

内田ユキオ
新潟県両津市(現在の佐渡市)出身。公務員を経てフリーに。
タレントなどの撮影のかたわら、スナップに定評がある。執筆も手がけ、カメラ雑誌や新聞に寄稿。著書には「ライカとモノクロの日々」「いつもカメラが」(ともにエイ出版社)などがある。現在は写真教室の講師も務める。
自称「最後の文系写真家」。データや性能だけではないカメラの魅力にこだわりを持つ。
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