プロダクトデザイナー★半杭誠一郎の生き方

プロダクトデザイナー★半杭誠一郎の生き方 Vol.2

プロダクトデザイナー★半杭誠一郎の生き方 Vol.2

再起動!INDUSTRIA★ブランドの⽴ち上げ   N:INDUSTRIA★ブランドについて教えてください。 半:これからも⼯業デザインの道をしっかり歩いていこう、その気概をそのままストレートに名前にしました。 N:★の意味は? 半:INDUSTRIAだけだと、⽂字として読まれるんですが、★をつけることでマークとして認識されるんです。INDUSTRIA★がアイコンとして育って、定着していくことを⽬指して★マークを付けました。 N:新会社としてのポリシーとか哲学は? 半:A&Aと何も変わっていないんですよ。持ち歩いたり⾝に付けたりするものは、カッコ良いものがいい。でも、カッコ良いデザインをするのではなく、機能を徹底的に追求した結果として、カッコ良いものが⽣まれると信じてます。カッコつけたものとカッコいいものは違うんです。 N:機能美ですね。逆にいうと、機能に裏付けられたダサさは、時間と共に美しくなっていく、とも⾔えるのかなとも思いました。他にはありますか? 半:メイド・イン・ジャパンにこだわってます。 N:ブランドのタグラインにMade in Japanと付けていることからも、そのこだわりが伝わってくるのですけど、海外製も最近は随分品質が良くなってきたと思います。半杭クオリティとしては、それでも満⾜できないのでしょうか? 半:そうですね、細部の作り込みなど特に。ただそれ以上に、私が⼿がけている商品は⼯場に図⾯渡して終わりでなく、職⼈さんとやりとりしながら⼀緒に作り上げていくことが重要なんです。なので、今はA&A時代の職⼈さんたちと⼀緒に作っています。どこも海外⽣産にシフトしている中で、彼らが腕を振るう場所を作ってあげたいという気持ちもあって。 N:なるほど、職⼈さんとの密なコミュニケーションから⽣まれているモノなんですね。でもやはりコストは相当⾼くなる。 半:その通りです。そこで、ハクバ写真産業と連携したセカンドブランド「IND2」(インダツー)を⽴ち上げました。デザインは私がやって、⽣産はハクバの海外⼯場という形です。  ハクバ写真産業とのコラボブランドIND=にも★が付く   N:そこはしっかりブランドを切り分けているわけですね。あと、半杭さんは写真家さん達の要望を聞きながら、いつも試作を繰り返している印象もあります。 半:現場のリアルな要望を聞くと、商売抜きでつい応えたくなってしまって(笑)   清⽔哲朗さんの要望から試作した防⽔ストラップ  ⼩澤太⼀さんの要望から試作した蓋付インナーケース   N:万年筆ケースなども⼿掛けていますが。半:機能的なデザインと、⾼品質なモノ作りを他のジャンルでも活かせるんじゃないかと思って商品化したのですが、⼤⼿⽂具店等で取り扱ってもらって、コンスタントに売れています。ちょっとした収納の⼯夫を凝らしたところが評価されています。   ⼯業デザイン⼀筋、半杭誠⼀郎の進む道 N:今後の展開について教えてください。 半:後輩のデザイナー達と、様々なデザイン提案をしていこうと準備中です。例えば、バンジーストラップ。銃のストラップとして多⽤されている構造なんですが、これの実⽤新案も取得済みです。頑丈かつ軽量、クッション性のあるものなので、リュックやストラップはもちろんのこと、ベビーカーや椅⼦などにも応⽤できるのではないかと考えてるんです。   N:介護やキャンプ⽤品にも使えそうですね!⾯⽩い素材もあると聞きましたが?半:⼯業⽤の硬質フェルトを何かに活⽤できないかも、現在検討中です。N:アイデアの素材は沢⼭あるのですね。...

プロダクトデザイナー★半杭誠一郎の生き方 Vol.2

再起動!INDUSTRIA★ブランドの⽴ち上げ   N:INDUSTRIA★ブランドについて教えてください。 半:これからも⼯業デザインの道をしっかり歩いていこう、その気概をそのままストレートに名前にしました。 N:★の意味は? 半:INDUSTRIAだけだと、⽂字として読まれるんですが、★をつけることでマークとして認識されるんです。INDUSTRIA★がアイコンとして育って、定着していくことを⽬指して★マークを付けました。 N:新会社としてのポリシーとか哲学は? 半:A&Aと何も変わっていないんですよ。持ち歩いたり⾝に付けたりするものは、カッコ良いものがいい。でも、カッコ良いデザインをするのではなく、機能を徹底的に追求した結果として、カッコ良いものが⽣まれると信じてます。カッコつけたものとカッコいいものは違うんです。 N:機能美ですね。逆にいうと、機能に裏付けられたダサさは、時間と共に美しくなっていく、とも⾔えるのかなとも思いました。他にはありますか? 半:メイド・イン・ジャパンにこだわってます。 N:ブランドのタグラインにMade in Japanと付けていることからも、そのこだわりが伝わってくるのですけど、海外製も最近は随分品質が良くなってきたと思います。半杭クオリティとしては、それでも満⾜できないのでしょうか? 半:そうですね、細部の作り込みなど特に。ただそれ以上に、私が⼿がけている商品は⼯場に図⾯渡して終わりでなく、職⼈さんとやりとりしながら⼀緒に作り上げていくことが重要なんです。なので、今はA&A時代の職⼈さんたちと⼀緒に作っています。どこも海外⽣産にシフトしている中で、彼らが腕を振るう場所を作ってあげたいという気持ちもあって。 N:なるほど、職⼈さんとの密なコミュニケーションから⽣まれているモノなんですね。でもやはりコストは相当⾼くなる。 半:その通りです。そこで、ハクバ写真産業と連携したセカンドブランド「IND2」(インダツー)を⽴ち上げました。デザインは私がやって、⽣産はハクバの海外⼯場という形です。  ハクバ写真産業とのコラボブランドIND=にも★が付く   N:そこはしっかりブランドを切り分けているわけですね。あと、半杭さんは写真家さん達の要望を聞きながら、いつも試作を繰り返している印象もあります。 半:現場のリアルな要望を聞くと、商売抜きでつい応えたくなってしまって(笑)   清⽔哲朗さんの要望から試作した防⽔ストラップ  ⼩澤太⼀さんの要望から試作した蓋付インナーケース   N:万年筆ケースなども⼿掛けていますが。半:機能的なデザインと、⾼品質なモノ作りを他のジャンルでも活かせるんじゃないかと思って商品化したのですが、⼤⼿⽂具店等で取り扱ってもらって、コンスタントに売れています。ちょっとした収納の⼯夫を凝らしたところが評価されています。   ⼯業デザイン⼀筋、半杭誠⼀郎の進む道 N:今後の展開について教えてください。 半:後輩のデザイナー達と、様々なデザイン提案をしていこうと準備中です。例えば、バンジーストラップ。銃のストラップとして多⽤されている構造なんですが、これの実⽤新案も取得済みです。頑丈かつ軽量、クッション性のあるものなので、リュックやストラップはもちろんのこと、ベビーカーや椅⼦などにも応⽤できるのではないかと考えてるんです。   N:介護やキャンプ⽤品にも使えそうですね!⾯⽩い素材もあると聞きましたが?半:⼯業⽤の硬質フェルトを何かに活⽤できないかも、現在検討中です。N:アイデアの素材は沢⼭あるのですね。...

プロダクトデザイナー★半杭誠一郎の生き方 Vol.1

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ARTISAN&ARTIST*(以下A&A社)を設⽴し、数多くのバッグやポーチ等のデザインと開発を⼿掛けて⾼い評価を得る傍ら、カメラアクセサリーに製品ジャンルを広げて多くのプロカメラマンや写真愛好家の⽀持を得てきた半杭誠⼀郎さん。そのモノづくりのポリシーや今後の夢について、お話しいただきました。(聞き⼿:野⼝ 智弘) 撮影:こばやし かをる    ⼯業デザインとしての機能美を追求し続けたい 野⼝(以下:N):デザイナーになろうと思ったきっかけは? 半杭(以下:半):⾃動⾞デザインに憧れて桑沢デザイン研究所に⼊ったのですが、先輩デザイナーから「何年もインパネのデザインだけやってる」という話を聞いて、⾞のデザインも分業が進んでいることを知りました。それで、1 ⼈で完結できるデザインがやりたくて、銀座の⽼舗靴店に⼊って婦⼈靴のデザインを始めました。⾰を扱う中で、⾃然の流れとしてバッグなども⼿掛けるようになったんです。   N:その後、アルティザン&アーティスト(以降:A&A)を設⽴。メイクアップツールなどに展開していくわけですね。 半:当時、メイク収納品はサテンの豪華なものばかりだったので、もっと機能的なものを作りたかったんです。 N:当時の評判はどうだったのですか? 半: 最初は全然売れなかったのですよ、価格が⾼かったし。ところが、バーニーズやレイジースーザンにO E Mで卸すと、驚くように売れだしたんです。 プロのメイクアップアーティストの⽬に留まって、そこからC A、アナウンサー、⽔商売の⽅など、化粧に関⼼が強い⼈達が買ってくれました。 中でも⼥性誌25ans(ヴァンサンカン)で紹介されたポーチは驚くほど売れましたね。   ⼤ヒットしたバーニーズニューヨークのポーチ(1992 年頃) N:プロの評価を得られたことが⼤きいのですね。そして販売チャネルも拡⼤していく。半:当時は30店以上の百貨店に出店していました。いずれも⼀階の⼀等地に海外のハイブランドと並んでの展⽰です。銀座松屋ではシャネルより坪効率が⾼いこともありました。 多くのファッション系アーティストが訪れた当時のA&Aショールーム(池尻⼤橋)   N:その成功をベースに、さらにカメラアクセサリーへと広げていくわけですよね。 半:当時、ライカユーザーのカメラバッグといえばBILLINGHAM(ビリンガム)かDOMKE(ドンケ)でした。DOMKE は機能的には優れたバッグですが、デザイン⾯でもっと⼯夫の余地があるだろうと思って。使いやすさとカッコよさを両⽴させたバッグが作りたかったんです。 N:カメラ好き、写真好きの半杭さんとしては、⾃然の流れですよね。そして、キャンパス地のバッグA...

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ARTISAN&ARTIST*(以下A&A社)を設⽴し、数多くのバッグやポーチ等のデザインと開発を⼿掛けて⾼い評価を得る傍ら、カメラアクセサリーに製品ジャンルを広げて多くのプロカメラマンや写真愛好家の⽀持を得てきた半杭誠⼀郎さん。そのモノづくりのポリシーや今後の夢について、お話しいただきました。(聞き⼿:野⼝ 智弘) 撮影:こばやし かをる    ⼯業デザインとしての機能美を追求し続けたい 野⼝(以下:N):デザイナーになろうと思ったきっかけは? 半杭(以下:半):⾃動⾞デザインに憧れて桑沢デザイン研究所に⼊ったのですが、先輩デザイナーから「何年もインパネのデザインだけやってる」という話を聞いて、⾞のデザインも分業が進んでいることを知りました。それで、1 ⼈で完結できるデザインがやりたくて、銀座の⽼舗靴店に⼊って婦⼈靴のデザインを始めました。⾰を扱う中で、⾃然の流れとしてバッグなども⼿掛けるようになったんです。   N:その後、アルティザン&アーティスト(以降:A&A)を設⽴。メイクアップツールなどに展開していくわけですね。 半:当時、メイク収納品はサテンの豪華なものばかりだったので、もっと機能的なものを作りたかったんです。 N:当時の評判はどうだったのですか? 半: 最初は全然売れなかったのですよ、価格が⾼かったし。ところが、バーニーズやレイジースーザンにO E Mで卸すと、驚くように売れだしたんです。 プロのメイクアップアーティストの⽬に留まって、そこからC A、アナウンサー、⽔商売の⽅など、化粧に関⼼が強い⼈達が買ってくれました。 中でも⼥性誌25ans(ヴァンサンカン)で紹介されたポーチは驚くほど売れましたね。   ⼤ヒットしたバーニーズニューヨークのポーチ(1992 年頃) N:プロの評価を得られたことが⼤きいのですね。そして販売チャネルも拡⼤していく。半:当時は30店以上の百貨店に出店していました。いずれも⼀階の⼀等地に海外のハイブランドと並んでの展⽰です。銀座松屋ではシャネルより坪効率が⾼いこともありました。 多くのファッション系アーティストが訪れた当時のA&Aショールーム(池尻⼤橋)   N:その成功をベースに、さらにカメラアクセサリーへと広げていくわけですよね。 半:当時、ライカユーザーのカメラバッグといえばBILLINGHAM(ビリンガム)かDOMKE(ドンケ)でした。DOMKE は機能的には優れたバッグですが、デザイン⾯でもっと⼯夫の余地があるだろうと思って。使いやすさとカッコよさを両⽴させたバッグが作りたかったんです。 N:カメラ好き、写真好きの半杭さんとしては、⾃然の流れですよね。そして、キャンパス地のバッグA...